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私事で恐縮だが、私は昔、マリというネコを飼っていた。

そのころ学生だった私は、狭いアパート暮らしでネコを飼うどころではなかったが、ある日どこからともなく窓の下に現われたネコがあんまり可愛いので部屋に入れてみた。そのネコはそのまま部屋にいつき、いつの間にかマリという名前になった。

夜遅く部屋に入ってみると、たいていマリは私を待っていたし、いないときでも、彼女はじきに台所の窓から戻ってきてニャアニャアと鳴いた。「やっぱり、私がいないと寂しいのね」。私はそれがネコだとはいえ、頼られる相手ができたことでなんとなくいい気分になり、かいがいしくネコ用の缶詰を買い集めたりもしたのである。

ところが、マリを飼い出して半年もたったある秋の夕方、私は「ん?」という光景に出くわしたのである。アパートから百メートルと離れていない肉屋にメンチカツを買いに行った私は、店の奥でマリが座布団の上にちんまりと丸まっているのを目撃したのだ。

「あれぇ。マリ。マリじゃないの!おまえ、なにをしているの。こんなところで」。
私は思わずマリに声をかけたが、ピクリとも反応せず、
「あたしは、ずっと昔から、ここんちのネコですけど?」という態度で
そっぽを向いている。

それで勘違いしたのかな、良く似ているけど違うネコなんだな、と思い直し、帰りかけた私に肉屋のおじさんがニコニコしながら声をかけてきた。
「このネコ、マリっていうの?うちじゃ、タマって、呼んでるんだよ」

「タ、タマァ・・・」

そうなのだ。マリは、タマさんなのであった。その上あとで分かったことだが、タマさんの本名はルルちゃんという、ネコだったのである。さて、ここで一挙に結論を急ごう。私はマリを飼っているつもりが、マリは私に飼われていなかったのである。

マリはもともと近くのある家でルルという名で飼われていたネコだった。
しかし、ルルは、縛られるのがとってもいやな性分だった。
ルルの買主がいくら引き止めても、「あたしの好きにいたします」と家出を繰り返し、或るときは、タマ、或るときはマリになっていたりしていたのだ。

マリは、自分の好きなときに好きな場所を見つけ、勝手にそこで暮らしていただけのこと。私に飼われていたことなど、一度もなかったのである。

まったくなんというネコであろうか。われわれ人間どもをたぶらかし、愛情をしぼり取っておいて、飽きるとさっさとよそへいく。いきっぱなしならまだしも、気が変わると何食わぬ顔をして戻ってきて、この上なくチャーミングに鳴いてみせるのである。

これではジゴロか悪女と同じではないか。現に肉屋の一件があった翌日もマリは涼しい顔で私の部屋に戻り、さっさとコタツにもぐりこんできたのだ。

さて、そのあとみんながどうしたかというと、別に何もしたわけではない。
相変わらず、肉屋にはタマさんがいて、本宅にはルルちゃんがいる、というだけのこと。なにも変わらないのである。それで我々人間は十分楽しかったのだ。



岸田優「星を抱いた12匹の猫―あなたのネコちゃんの幸せを占う」 より





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